「ジャズについて知りたい」「ジャズを語れるようになりたい」
クラシック音楽だとベートーヴェン、モーツァルトと誰でも知っている有名な作曲家がたくさんいますが、ジャズの場合はどうでしょう?
ジャズは興味を持たなければもしかすると何も語れないかもしれません。
この記事ではジャズについては何も知らないけれど教養としてのジャズを身につけたいという方のために、最低限ジャズを語れるようになるだけの知識を分かりやすく紹介します!
記事を読んでジャズが好きになったらぜひジャズを色々聞いてみてください。ジャズは最高です。
ジャズを知るためのおすすめ本
まずはジャズ初心者向けのおすすめ本を1冊紹介します。
ジャズ入門書はいくつか出ていますが、この記事では、『ゼロから分かる!知れば知るほど、面白いジャズ入門』を紹介させていただきます。※本記事の内容もこちらの本を参考にさせていただきました。
ジャズ喫茶「いーぐる」の店主をされている後藤雅洋さんの書かれた本です。
この本のいいところは、ただ淡々とジャズについて解説するのではなく、ジャズの色んな切り口(テーマ)から説明を加えているところだと思います。例えば、ジャズを題材にした作品、ジャズの歴史、スタンダード、ジャズマンと多彩な章分けがされています。
おすすめ曲もたくさん紹介されているので、ジャズ初心者は持っておきたい案内書ですね。
別の記事では、村上春樹の『ポートレイト・イン・ジャズ』もおすすめしております。
ジャズってどんな音楽?
ジャズって言葉を普通に使いますが、ジャズとはどんな音楽なのでしょうか?
先ほど紹介した本の著者は至ってシンプルに解答を出します。
自分のやりたいことを楽器・声で表現する音楽
『ゼロから分かる!知れば知るほど、面白いジャズ入門』p.2
とてもシンプルです。つまり、ジャズは決まった形がなく非常に自由度の高い音楽だということです。
自分の感情を表現するために曲を大幅に改変するのがごく普通です。即興演奏こそがジャズだというのは間違いですが、即興演奏があったりするのもジャズの特徴の1つですね。
ジャズは民族音楽、クラシック、ロック、ポップスと色んな音楽を吸収しながら幅を広げ続けています。
ですから、ジャズって難しそうな気もしますが実は何とでも相性の良い音楽でもあります。誰でも好きなジャズが必ずあるというのは本当だと思います。
ジャズ誕生~スウィング
ジャズが誕生したのは、アメリカのニューオリンズです。
ニューオリンズは、様々な人種・民族のいる町でした。そんな環境の中で色んな種類の音楽が混ざり合ってジャズという音楽が誕生しました。
ジャズが色んな音楽を吸収するというルーツはここにあるのです。
ジャズの最初の録音は1917年で「オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド」によるものです。そしてこの年にアメリカは第一次世界大戦に参戦します。
それに伴ってニューオリンズの歓楽街が閉鎖され、ジャズマンはシカゴに移ることとなったのです。
そしてこの頃のジャズマンの中心人物だったのがルイ・アームストロングです。ジャズの父的存在です。
彼のスタイルは、「スウィング」と呼ばれており、聴いていると思わず踊ってしまいたくなくなるような音楽のことです。スウィングは「揺れる」という意味です。
スウィングを語る上でもう一人欠かせないのがベニー・グッドマンです。
白人クラリネット奏者である彼の率いた楽団が人気を博して、スウィングブームが頂点に達しました。
この頃にはジャズの中心地はニューヨークとなっていました。
覚えておきたい流れとジャズマン
- 流れ
- ジャズ誕生はニューオリンズ
- ジャズの拠点がニューオリンズ→シカゴ→ニューヨークへ
- スウィングブームになる
- ジャズマン
- ルイ・アームストロング
- ベニー・グッドマン
ビバップとハード・バップ
アメリカが第二次世界大戦に参戦する少し前から、若い黒人ジャズマンたちがクラブに集まって、スウィングとは異なる、即興性が高くよりテクニックを重視するジャズが演奏され始めました。
こうした音楽のスタイルを「ビバップ」と呼びます。
ビバップで絶対に覚えておきたいジャズマンはチャーリー・パーカーとデイジー・ガレスピーです。
しかし、チャーリー・パーカーのコンボにいたマイルス・デイヴィスは即興とテクニック重視のビバップに限界を感じるようになります。
マイルス・デイヴィスはビバップとは異なる、即興よりもしっかりと作り込んだ楽曲を演奏するジャズを目指します。
1954には、ドラマーのアート・ブレイキーが組んだバンドの演奏は、しっかりと作り込んだ楽曲とアドリブを備えたもので、「ハード・バップ」と呼ばれるようになりました。
私たちの多くがジャズと聞いて想像してしまう音楽は恐らくハード・バップかもしれません。ハード・バップはとてもジャズらしいのです。
覚えておきたい流れとジャズマン
- 流れ
- スウィング→ビバップ→ハード・バップ
- ジャズマン
- チャーリー・パーカー
- デイジー・ガレスピー
- マイルス・デイヴィス
- アート・ブレイキー
モードとフリージャズ
1959年にマイルス・デイヴィスが『カインド・オブ・ブルー』を録音し世に送り出しました。
これまでのジャズはコード(和音)に従ってアドリブを行っていたのですが、そこからアドリブをさらに一歩進化させてモード(旋法)に沿ってアドリブを行おうという試みが生まれました。『カインド・オブ・ブルー』は先駆けの1つです。
こうしたジャズの形式をモード・ジャズといいます。
コードやモードという言葉がピンとこないかもしれませんが、モードの方がコードより自由度が高くヴァリエーションのあるアドリブができると考えておけばOKです。
モード・ジャズにおいておさえておきたいミュージシャンはハービー・ハンコック、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンスです。どのミュージシャンも有名で素晴らしいアルバムがたくさんあります。
そして同じ1959年に活躍したオーネット・コールマンは、ジャズの既成概念にとらわれないフリー・ジャズを演奏しました。
フリー・ジャズは言葉の通り、制約が少なく自由度が高くなったジャズです。こうしてジャズの幅がどんどん広がっていきました。
覚えておきたい流れとジャズマン
- 流れ
- モード・ジャズやフリー・ジャズによってジャズの幅が広がる
- ジャズマン
- ハービー・ハンコック
- ジョン・コルトレーン
- ビル・エヴァンス
- オーネット・コールマン
フュージョン~モダンジャズ
1960年には世界的にロックが人気となりました。
ジャズミュージシャンたちは、ロックやポップスといった音楽をジャズと融合しようとしました。
こうしてこれらが混ざりあった音楽をフュージョンといいます。ドラゴンボールのフュージョンと同じで合体することでより高度のジャズを生み出そうとしたのです。
フュージョンの代表作ともいえるのが、ジョージ・ベンソンの『ブリージン』です。
ジャズ界でフュージョン・ブームが起きていた頃、19歳の天才的トランぺッターのウィントン・マルサリスが現れました。
彼の天才的テクニックがジャズ界に衝撃を与えるとともに、絶大な影響を与えました。
ウィントンの登場後も、ジャズはさらに進化し続けて現代にまで至っています。ジャズはさらに多様に、自由に、新しくなっていきます。
モダンジャズの代表的なミュージシャンを挙げれば、ロバート・グラスパーとカマシ・ワシントンは外せないと思います。
インターネットの普及によって世界中で誰とでもいつでもどこででもつながれるようになった現代においてジャズはさらに進化していくでしょう。
覚えておきたい流れとジャズマン
- 流れ
- フュージョン→ウィントン・マルサリスの登場→モダンジャズ
- ジャズマン
- ジョージ・ベンソン
- ウィントン・マルサリス
- ロバート・グラスパー
- カマシ・ワシントン
まとめ
ジャズの歴史をなるべく簡潔に分かりやすくまとめました。
少しでもジャズの知識が身についたり、興味を持っていただけたなら嬉しいです。
まずは、色々ジャズを聴いてみてジャズの魅力に触れてみるといいと思います!この記事で紹介したジャズマンはいいアルバムをたくさん残してますのでYouTubeでもで聴いてみてはいかがでしょうか。