みなさんは東京上野にある国立西洋美術館はご存知ですか?
フランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」をはじめとして、現在では約6000点という膨大な数の作品が所蔵されている美術館です!
西洋美術だけを所蔵するのは日本で国立西洋美術館が唯一の場所で、西洋美術が好きな方には強くおすすめしたい場所です!
有名な作品もたくさんあります!
この記事では「国立西洋美術館に行ってみたい人」「西洋絵画に興味がある人」に向けて、国立西洋美術館にあるおすすめの作品を紹介します!
たくさんある作品の中で、美術好きな筆者が特に気に入った(主観的ですが)7作品を紹介するので、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。
国立西洋美術館のホームページはこちらから!
作品だけじゃない!建物としての魅力

作品紹介に入る前に、一つだけ重要なことを紹介させてください。
国立西洋美術館は収蔵されている作品もさることながら、美術館の建物自体が一つの芸術作品なのです!
なんと国立西洋美術館は世界遺産にも登録されています!
フランスの建築家ル・コルビュジェが設計したこの美術館は、様々なモダニズム的特徴があります。
一つは、ピロティ構造といって、上の写真を見てもらえばわかりますが、柱だけで建物を支えています。外の空間とつながっていて、とても開放感のあるつくりになっています。
また、二階の螺旋状の回廊は、「無限成長美術館」というコンセプトのもと、作品が増えたときに建物を拡大できるようになっており、無限に作品を収蔵できる仕組みになっています。

美術館の広い前庭は、パブリックスペースとなっています。あの有名なロダンの『考える人』や『地獄の門』がなんと誰でも無料で見れます。
ヤン・ブリューゲル『アブラハムとイサクのいる森林風景』

ブリューゲルと聞くと『バベルの塔』などで有名なピーテル・ブリューゲルを思い浮かべがちですが、ヤン・ブリューゲルはその次男です。
花を好んで取り上げたことから、「花のブリューゲル」とも呼ばれています。
まずこの絵画で味わって欲しいのが圧倒的にきれいな自然描写です。写実的に描かれた風景を実際に美術館で観て釘付けになりました。
アブラハムとイサクの物語は聖書が題材の宗教的テーマです。
神はアブラハムの信仰を試すために、息子のイサクを生贄として捧げることを命じます。アブラハムはそれに従ってイサクを捧げようとしますが、その直前で神がアブラハムを止め、代わりに雄羊を捧げることを命じるという物語が題材となっています。
ラ・トゥール『聖トマス』

ラ・トゥールといえば、バロックの画家で特に明暗表現が印象的ですね。
この絵画はラ・トゥールお得意の暗闇の中に灯る蠟燭の絵画よりもはっきりしませんが、一方から光が差し込む明暗表現が見られます。
主題となっている聖トマスは槍を持っていますね。
これが聖トマスだと判別できるアイテム(アトリビュート)なんです!
聖トマスは、キリストの復活に不信感を抱いていました。そこで、キリストはトマスに自分が槍で疲れた傷口を触らせることで納得させたといいます。
その後、トマスはインドに赴き、そこで異教の司祭たちに槍で突かれて殉死します。このようにトマスは槍と深く関わっているのですね。
こうした知識を持ったうえで絵画を観てみると一層面白いですね。
カルロ・ドルチ『悲しみの聖母』

この絵画を一目観て、口に出た言葉は、「美しい!」でした。国立西洋美術館の中で最も美しいと言っても過言ではないと思います。
はっきりした明暗表現、鮮やかなマントのブルー、悲しげな聖母の表情と、手のポーズ。どれをとっても美しいですね。
この作品は宗教画であり、観るものの感情に強く訴えかけてきます。
実際に目にすれば、信仰心が搔き立てられる経験をすることができるでしょう。
ロセッティ『愛の杯』

ラファエロを頂点としたアカデミーに反発して誕生したラファエル前派。その中心人物であるロセッティの作品です。
個人的にすごくお気に入りの作品です。色彩の美しさや描写の精緻さが見事ですよね。
作品モチーフとなっている愛の杯は恋人同士で酌み交わす杯を象徴しています。
近くで観るとこの作品の完成度の高さに驚きます。
ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち』

ここで皆さん大好き印象派の紹介です!
一番の目玉であるモネの睡蓮はあえて紹介せず、ルノワールを紹介したいと思います。
この作品は、ドラクロワの『アルジェの女たち』に着想を得て制作されました。
フランスで流行したオリエンタリズム(異国趣味)の影響が強く見られる作品ながら、ルノワールならでの筆のタッチが見られる作品です。
一度、フランス政府に没収された後、何とか寄贈という形で返還を勝ち取った貴重な作品です。
モロー『牢獄のサロメ』

モローは筆者が個人的に最も好きな画家のひとりで、それが日本の美術館で観られるのは幸せです。
サロメといえば、王の前で舞を踊ってその褒美にヨハネの首を求めた女性で、ファムファタルの象徴的存在です。
柱の右側には、サロメとこれからヨハネの首が乗せられるお盆が、柱の左側には、今にも斬首されようとしているヨハネが描かれています。
モローの絵を実際に観ると小さく感じますが、その魅力は大きいです。
ハンマースホイ『ピアノを弾く妻イーダのいる室内』

ハンマースホイはあまりよく知られていないかもしれませんね。デンマークで活躍した画家です。
これまで紹介してきた絵に比べて、なんとも静かな絵じゃないでしょうか。この室内は実際にハンマースホイの自宅らしいです。
描かれているのは、タイトル通り妻のイーダがピアノを弾く後ろ姿ですが、この絵はどこか神秘的です。イーダの上にある銅板はぼやかされていて何が書かれているか分かりませんね。
どこかフェルメール的な雰囲気を感じられる素敵な作品です。
まとめ

この記事では、国立西洋美術館で、筆者がおすすめする7つの作品を紹介してきました。
筆者の個人的チョイスが多かったですが、国立西洋美術館に訪れた際にはぜひ観てほしいです。後悔はしません。
日本で西洋美術を味わいたいという方はぜひ国立西洋美術館に行ってみてはどうでしょうか。


