「フランス文学ってどんな作品があるのかな?」「面白いフランス文学を知りたい!」
こう思っている方に向けておすすめのフランス文学作品を10作品紹介します!
フランス文学を専攻し、数々の作品を読んできた筆者が、ジャンルや時代に偏りがないようになるべく読みやすい作品を挙げていきます。
ぜひこの記事を参考に気になった作品を読んでみてくださいね。
- 16世紀の作家
- モンテーニュ『エセー』
- 17世紀の作家
- ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』
- 18世紀の作家
- ヴォルテール『カンディード』
- ルソー『孤独な散歩者の夢想』
- プレヴォー『マノン・レスコー』
- 19世紀の作家
- スタンダール『赤と黒』
- モーパッサン短編作品
- 20世紀の作家
- ラディゲ『肉体の悪魔』
- サガン『悲しみよこんにちは』
- プレヴェール詩集
フランス文学は光文社古典新訳文庫がおすすめ
はじめに、フランス文学を読むなら光文社古典新訳文庫を選ぶのをおすすめします。
フランス文学は翻訳が結構進んでいて、岩波文庫や新潮文庫などたくさんの出版社から出ています。
もちろん好みの問題があるので自分に合ったものを選べばいいですが、初心者の方は迷ったら積極的に光文社古典新訳文庫を読めばいいと思います。
理由はシンプルに、読みやすい訳だからです。
古典文学は読みにくいという印象を持っておられる方もいると思いますが、光文社古典新訳文庫はとても読みやすいです。
この記事でも光文社古典新訳文庫から訳が出ているものはそちらで紹介しています。
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モンテーニュ『エセー』
始めに紹介するのは、モンテーニュの『エセー』です。
今回紹介する中では一番とっつきにくい作品かもしれませんが、人生で一度はぜひ読んでおきたいフランス文学作品といえます。
『エセー』の序文では「私自身がこの本の内容である」の述べられています。
つまり、『エセー』に16世紀に生きたモンテーニュが自分自身を見つめることによって、よりよく生きるにはどうすればよいかを書き綴った痕跡が見える本だということができます。
『エセー』は後世にも強い影響を与え、現代でも読み継がれています。
「よりよく生きるにはどうしたらよいか」
絶対的答えのないこの問いのヒントを『エセー』から学んでみるのはいかがでしょうか。
ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』
2つ目に紹介する作品は、ラファイエット夫人の『クレーヴの奥方』です。
フランス文学が得意とする恋愛心理小説の先駆けとなった作品です。
ざっくりいうと、好きでもない夫と結婚させられた女主人公が、他のある男性に気づかないうちに想いを寄せていくというお話です。
女主人公の心の動きがものすごく丁寧に描かれていて、はっとさせられます。
人間の複雑な心情を扱った恋愛小説が好きな方にはぜひ読んでもらいたい作品です。
ヴォルテール『カンディード』
3つ目に紹介するのは、ヴォルテールの『カンディード』です。
この世に起きることはたとえ辛いことであっても、そこには必ず理由があり、最善への道につながっている。
当時流行した「楽天主義」を信じた主人公は、旅するうちに悲惨な現実を幾度も目の当たりにし、この「楽天主義」に疑問を抱いていきます。
そして物語の最後には主人公が一つの答えを導き出します。
自給自足するトルコ人に感化されて、「各人が自分の庭を耕すのだ」という結論でした。
主人公が経験する壮絶な旅は読み応えがありますので、ぜひ実際に読んで主人公が最後の結論に至るまでのプロセスを楽しんでみてください。
ルソー『孤独な散歩者の夢想』
4つ目に紹介するのは、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』です。
ルソーといえば、学校の授業で習う『社会契約論』が有名かもしれません。
しかし、『社会契約論』は少しハードコアなので、ルソーを初めて読むならこの『孤独な散歩者の夢想』がおすすめです。
第一の散歩から第十の散歩まで全部で10の哲学エッセイが含まれています。小説でいうと、短編集みたいな感じですね
哲学エッセイといっても、重々しいものではなくスラスラ読める内容になっています。
ルソーはプライベートで色々癖が強かったらしいですが(笑)、文章は確実に人を惹きつけます。
プレヴォー『マノン・レスコー』
5つ目に紹介するのは、プレヴォーの『マノン・レスコー』です。
タイトルのマノン・レスコーはヒロインの名前です。
マノン・レスコーの虜になった主人公の男性が身を滅ぼしていく様子が描かれた恋愛小説です。
付き合った男性を破滅させる運命の女性という意味で「ファムファタル」という言葉があります。
マノン・レスコーがどんな魅力を持ち、どのように男性を破滅させるに至ったのか。気になる方はぜひ読んでみてください。
スタンダール『赤と黒』
6つ目に紹介するのは、スタンダールの『赤と黒』です。
主人公ジュリアン・ソレルが貧しい出で立ちでありながら、強い野望を持って社会的地位を高めていく様が描かれています。
私たちと全く違う境遇にありながら、彼の行動に強い共感を感じてしまう。それほど人間の心理描写が巧みに描かれています。
上下巻に分かれる長編作品ですが、ジュリアン・ソレルに感情移入できれば(笑)、最後まで難なく読むことができます。
フランス文学を語る上で絶対に外せない作品の一つです!
モーパッサン短編作品
7つ目に紹介するのは、モーパッサン短編作品です。
モーパッサンといえば、『女の一生』や『脂肪の塊』といった長編作品がよく知られていますが、モーパッサンの短編作品は見逃せません。
300以上の短編が残しており、そのどれもがすごく面白いですし読みやすいです。
短編作品はどれもおすすめですが、ここでは『オルラ』をおすすめしておきます。『オルラ』は「見えない何かがいる…」と狂気に陥っていく男の姿が日記形式で描かれています。
読めばモーパッサンの魅力に引き込まれること間違いなしです。
ラディゲ『肉体の悪魔』
8つ目に紹介するのは、ラディゲの『肉体の悪魔』です。
ラディゲは20歳という若さで亡くなった天才作家です。彼の処女作である『肉体の悪魔』も16歳~18歳で書かれた作品です。
しかし、知らなければこの作品は18歳の少年が書いたものだと誰も思わないでしょう。
そのくらいこの作品は人間心理の核心を射ていると思います。
フランス文学らしく、主人公が年上の女性と恋に落ちるという恋愛小説です。
サガン『悲しみよこんにちは』
9つ目に紹介するのは、サガンの『悲しみよこんにちは』です。
読んだことがなくてもこの作品のタイトルはほとんどの方が知っているでしょう。世界的ベストセラーとなった作品ですね。
この作品はまずもって非常に読みやすいです!
最初にどの作品を読もうか迷っている方はまずこの作品から読んでみるのはいかがでしょうか。
17歳の少女が気楽な生活を送り、恋をし、そして葛藤する…。彼女が何を感じ、どう行動するのか。目が離せなくなります。
プレヴェール詩集
最後に紹介するのは、プレヴェール詩集です。
最後は詩作品を紹介したいと思います。
フランス文学は詩も非常に魅力的です。有名どころでは、ボードレールやランボーがいますね。しかし、ボードレールやランボーは難しすぎる…
そこでおすすめしたいのがプレヴェールです。
プレヴェールはあまり馴染みが無い作家かもしれませんが、ジャズのスタンダード曲「枯葉」の作詞や映画『天井桟敷の人々』を手がけた人物です。
プレヴェールの詩はとても親しみやすいです。形式にとらわれない自由詩で書かれています。詩を全く読んだことがないという方には特におすすめしたいです。
実は筆者も詩というものが苦手だったのですが、プレヴェール詩集を読んではじめて詩の魅力が分かるようになりました。
まとめ
この記事では16~20世紀という広い範囲からおすすめのフランス文学作品を10個紹介しました。
定番の作品もあれば、初めて聞いた作品もあったかもしれません。
まずは一番面白そうだと思った作品を手にとって読んでみてください!
10個の中から選べない!という方はまず以下の3作品を検討してみてはいかがですか?
- モーパッサン短編作品
- サガン『悲しみよこんにちは』
- プレヴェール詩集
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